初めての土地、初めての双子育児、初めての仕事。そんな「初めて」を、どう乗り越えた? (山田恵理さん・後編)

キャリアカウンセラーの資格を持ち、双子の育児に奮闘中の山田恵理さん。会社員を経てスペイン留学。自分のやりたい事で転職をしながら天職に巡り合うまでのストーリーを伺います。今回は後編です。

 

―今度は子育てをしながらの新しい環境になって、苦労されたのではないですか。

 

右も左もわからない秋田で、頼れる相手もいない子育てを抱えながらでしたが、2年目に女性の活躍を支援しているベンチャー企業の女性経営者に出会い、彼女のもとでキャリアカウンセラーとしての仕事をようやくスタートできました。そのときに思ったのが、私と同じように子育てをしながら働く女性を取り巻く環境の過酷さ、無理解、そして本人たちの苦労です。彼女たちの悩みを聞くなかで、いつしか大学生たちではなく、ワーママのキャリア形成をお手伝いできればと思うようになっていったのです。

 

―これまで仕事をされてきて、特に大変だったことはなんでしょうか。

 

大学の人事課に中途で入ったとき、自分が受けるはずだった新人研修の社内講師を、突然やれ、といわれたときです。「新人が新人の講師をする」って、よく考えたらおかしいですよね(笑)。しかも社内講師は組織のことを知っていないとできないのに。同期からみられるのでプレッシャーも大きかった。慣れない日々の業務もこなしながら、準備期間は3カ月しかありませんでした。でも、乗り越えるために「準備を100%にする」ことを意識しました。前任者は退職していましたが、会いに行って事細かに尋ね、自信をつけるために研修ツールの資格も取りました。シミュレーションを繰り返し、職場の上司に見てもらいました。

 

―準備に対する熱意が素晴らしいですね。

 

このときに、完全な準備をするためには周りの人の協力が必要だということを学びました。うまく周りを巻き込む、といった感じでしょうか。本番の研修は2回やったのですが、2回目は1回目よりもうまくできました。やったらやった分だけよくなる、ということが体感として得られました。そして、最終的には「自信をもって、ハートを強く持つ」ことだと思います。そのための準備をどうやって、どこまでできるか、ということに尽きると思います。

 

 

 

—育児の方ではどのようなことが大変でしたか?

 

初めての育児は誰もが大変だと思います。うちはそれに加えて双子だったので、物理的に大変でした。とにかくうちの子供たちは夜泣きが本当にひどかった。何時間も泣き続けて、その泣き声でもう一人が起きてしまって眠くて泣く、なんていうこともざらにありました。子供が生まれてから、熟睡できるようになったのは、本当にここ最近のことです。でも、たぶん子供が100人いれば、親はみんなそれぞれ100通りの大変さを味わっていると思います。楽な子育てなんてありません。相対的に比較するものではないと思っています。

 

—そのような状況をどうやって乗り越えてきたのでしょうか。

 

 

とにかく自分一人で抱え込まない。助けを求めることが、大事なんだと思います。夫や両親、きょうだいや友人など、身近にいる仲間に助けてもらえる環境を作ることですね。私の場合はまずは夫にでした。夫にも「辛い」という。自分が限界になる前に早めにSOSを出す。それができたのも、普段から夫となんでも話せるような関係を築けていたからだと思います。私自身これまでは人に頼るよりは自分で何とかしたい、という性格だったと思いますが、大変な時はとにかく遠慮せず、人に頼ることを意識しました。

 

-確かに、ワーママになると一人だけでは限界がありますよね。具体的にはどう対応されていたんですか。

 

ベビーシッターや自治体のファミリーサポートをお願いしたほか、夫の実家に1カ月間、夫抜きで義理の父母と「合宿生活」を送るなど、それまででは考えられないこともありました。でも、そうしたことで、義理の父母とも本当の意味で家族になれたと思います。

それから、神話にとらわれすぎないこと。「育児は母乳」「食事は手作り」・・・。とにかく育児をめぐっては、たくさんの「こうあるべき」論があふれかえっています。それぞれは大事なことかもしれませんが、気にしすぎると息が詰まってしまいますし、本当にストレスになります。大事だと思うところにはこだわりつつも、適度に力を抜く。なんとかなるものだと思うと、少し気持ちが楽になりませんか。

 

—数々の転職をされてきたわけですが、人生の決断に必要だと思うことはなんですか?

 

予期せぬできごとを前向きに受け入れること。自分がこうしたいと思うことに固執しすぎると、それ以外の可能性を捨ててしまうことになります。これをキャリア理論では、 「プランドハプンスタンス(計画的偶発性)」と呼びます。私自身も、たとえば夫の秋田転勤が決まったのは急で、都内の区立認可保育園に双子の2枠を確保した直後でした。保育園どころか、仕事もやめるので、一から探さなくてはなりません。でも、前向きに受け入れて秋田に行ったら、また多くの出会いと発見があり、キャリアにもつながりました。しかし、東京転勤もまた通常より1年早まって急で(苦笑)、またゼロからの保活と離職&職探しをしなければいけなくなりましたが、前向きに受け入れることで「育キャリカレッジ」との出会いもありました。

 

—転職する時に不安になったりすることはありませんか。

 

えっ!考えたこともなかったです。転職は前向きで、「ありたい自分」になるためにするのでワクワクします。

 

—恵理さんの、ありたいご自分の姿とはどのような姿なのでしょうか。

 

楽しく仕事をしていて、育児もできている姿です。今は、キャリアカウンセラーとして、どのような仕事に従事していこうか模索しているところですが、これから先も多くの出会いがあるだろうことに、ワクワクしています。

 

—本当に前向きでいらっしゃる。恵理さんのポリシーを教えていただけますか。

 

「臨機応変」です。ポリシーにこだわりすぎるのではなく、その時々で臨機応変に対応する。「郷に入っては郷に従え」という言葉もありますが、常に自分を開いた状態に置いておくことが、やがては自分の可能性を開いてくれる、と思っています。そしてそれは、海外経験で学んだ、といってもいいかもしれません。たとえばスペインは時間にルーズな国民性があると言われていてその通りでした。私は時間に忠実なほうでしたが、それではスペインではいらいらしたり疲れてしまうことがありました。緩やかな気持ちをもってそのルーズさに適応することでより快適に生活ができました。そんな風にその時の状況に応じて臨機応変に適応すると見えなかったものも見えてくる、新しい可能性を引き出すことができると思います。

 

―よろしければ、座右の銘などあれば教えてください。

 

「兵は拙速を尊ぶ」

作戦を練るのに時間をかけるよりも、下手な作戦でもすばやく行動することが勝利につながる、という意味です。私自身がわりと慎重な性格なので、慎重すぎてタイミングを見失わないように、自分の背中を押す意味で、心に留めている言葉です。考えてから走り出すのではなく「走りながら考える」と言い換えるとわかりやすいかもしれません。古代中国の言葉ですが、十分に自分の時間を取れないワーママにぴったりの言葉かもしれませんね。

 

 ―最後に、迷っているワーママにアドバイスをお願いします。

 

ママだから、と自分を制限する必要なんてないと思います。もちろん、物理的に制限はありますが、気持ちの上では自由でいていい。社会との距離が開くと、どうしても自己肯定感が下がりがちで、気持ちのうえでためらってしまうことは多いと思います。それは仕方のないことなので、それでも「欲張りで自由」にいられるために、お手伝いできることがあればと思っています。

 

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