キャリア悩むたびに手を差し伸べてくれたメンターたち。受けたバトンを次の世代へ。 (中野敬子さん・後編)

前編では、日本人唯一のペンタゴン勤務を経験した防衛省時代から、教育分野での起業を経てコーチ・メンターの道を歩み始めた背景を辿りました。後編では、キャリアを積む一方で女性ならではの壁にぶつかった経験と、メンターとして成し遂げるべき自らの役割について聞いていきます。

 

 

 ー コーチングを本格的に学んでいた中野さんが、メンターという言葉と、育キャリに出会ったきっかけは何だったのですか?

 

新聞記事です。昨年の夏、日経新聞で、偶然「育キャリ」に関する記事を目にし、感動したのです。

 

相談できる場や相談相手を見つけにくい働く女性たちは、孤独感を感じやすいものです。私自身も様々な不安に苛まれていました。そうかと言って、職場内で悩みをさらけ出すことには抵抗があるもの。プライベートで仲の良い同世代の友人たちとは、ライフステージによって悩みのテーマもおのずと異なります。私の場合、企業の管理職や起業家として活躍する女性の先輩方がメンターとしてアドバイスしてくれたことで気持ちが軽くなったことなどを、記事を読んで思い出しました。

 

「当時の私と同じように孤独感を感じていた女性たちが“職場外の人生の先輩”(=メンター)と出会い、相談出来るサービスがあったら、どんなに救われることだろう・・・」と思いながら記事を拝読し「いつか、この画期的なサービスを立ち上げた池原さん(※育キャリカレッジを運営している株式会社MANABICIA代表)と一緒にお仕事をしたい」と思いました。

 

その後、昨年11月にコーチングの民間資格を取得し、エグゼクティブコーチとしての活動を開始。年明けに池原さんにお会いして意気投合し、この春から育キャリカレッジのウィメンズキャリア メンターの資格も取得し、さらに公式メンターにもなりました。

 

ー 順調に見える中野さんも、八方塞がりの心境に陥ったことがあったのですね。

 

もちろんです。一番悩んだのは「”結婚・出産とキャリア”のどちらを優先するか」という選択です。私がペンタゴンに派遣される前、婚約している男性がいました。それが今の夫なのですが、彼と結婚しようとしていた矢先にアメリカ行きが決まったので、私は迷いました。まず、夫となる人を日本に1年近く置き去りにすることへの戸惑いです。正直に言えば、ここで破談になってしまったらどうしよう・・・という不安な気持ちもありました。

 

もう一つは結婚して姓が変わることで生じ得る煩雑な事務処理や、名前が変わることで受け入れ準備にあたってくれている米国政府機関に与える混乱を懸念しました。さらに30代後半という、子どもを望むには急がなければならない年齢だったため、究極の選択を迫られました。最終的には、日本人初のペンタゴン派遣という、またとないキャリアのチャンスを「エイや!」で選び、結婚は延期するという決断をしました。この決断に至るまではとても苦しかったです。

 

ー 困難を乗り越えて、今度は中野さんがメンターとなりました。どう思いますか?

 

私は幸運にも人生の節目節目でメンターに恵まれる人生でした。例えば、大学や留学したイギリスの大学院での恩師、大学院卒業後に仕事と向き合う姿勢を叩き込んでくださった佐々淳行先生(初代内閣安全保障室長)、職場内外で出会った業界の重鎮や人生の先輩、そして現在私がお願いをしているメンターの方・・・もはや「メンター無しではここまで歩んで来られなかった」と言っても過言ではありません。

 

しかし悲しいことに、恩師としてお世話になった方たちの多くが鬼籍に入ってしまった・・・そんなことをふとつぶやいた時、ある人に言われたのです。

 

「それはメンターの皆さんから中野さんにバトンが渡されたということじゃないかな。ここから先は、あなたは誰かに導かれる人ではなく、誰かを導く側の人になったということだね」

 

そうか!と思いました。女性には妻や母親、ビジネスパーソンなど、様々な役割が求められるもの。それらに追われるうちに、ついつい自分のことを後回しにしてしまうものです。自らのキャリア形成やこれからの人生について、自分と対話することなど滅多に無いことでしょう。

 

そんな人たちが、自分にとって幸せな人生を追求する。彼女たちを励まし、彼女たちに伴走するチアリーダーのような存在に、私はなりたいと思いました。

 

ー 次世代の女性たちにメッセージはありますか?

 

私も経験がありますが、頑張っている人ほど自分だけの力で何とかしようとし、周りからのサポートを素直に受け入れられない心境になりがちです。

 

だけど「助けて!手伝って!教えて!」って声に出していいのです。もしメンタリングによって救われたなら、今度は自分が次の世代に“恩送り”すれば良いのですから。

 

それはまさに今の私が育キャリでの活動を通じてやりたいこと。私がこれまでの人生で出会ったメンターたちから学んだことを、次の世代に伝え、それにより悩みを抱える人たちが元気に笑顔で前進するためのお役に立てるのであれば、これほど嬉しいことはありません。

 

「前編」を読む|

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